「疱瘡正宗」・・・静岡県の佐野美術館に、「疱瘡正宗」という奇妙な号を持つ一振りの太刀が所蔵されている。鎌倉時代末期から南北朝時代初期に相模国(神奈川県)鎌倉で活躍した名工・正宗の作である。

 江戸城改築等にも功を挙げた籐堂高虎という武将がいた。高虎の孫高久が、元禄16年(1703)に他界した時、名刀正宗はその遺物として徳川家に献上され代々受け継がれてきた太刀である。享保13年(1728)四月、当時正宗を所有していた徳川吉宗の長男・言え菅が疱瘡を患った。快癒しその祝いとして、吉宗から家慶へと疱瘡快癒の祝いとして贈られた。

 徳川家を継ぐ大切な人物がこの恐ろしい病にかかると、代々受け継がれてきた正宗の霊力に、快癒を祈願したのだろう。

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